私が通っていた小さな保育園では、月に1回ほど、園長先生と1対1でお昼を食べる機会がありました。おそらく、園児全員と順番に会うとちょうど1ヶ月で1周する人数だったのでしょう。自分の順番が回ってくると副園長先生(園長先生の奥さん)に呼ばれて園長室に案内されます。普段あまり会うことのない園長先生と会うのは少し緊張しました。園長室のふかふかした革張りのソファーは保育園児には大きすぎましたが、大人が座る椅子をひとりじめできるのはなんだか特別な感じがして妙に誇らしかったです。そこで園長先生と向かい合って給食を食べながら「元気かい?」「いつもお友達と何して遊んでるの?」などの他愛のない会話をするのですが、そのあいだ、園長先生はずっと私のほうをニコニコと眺めているのです。園児時代の私はとくに深いことを考えておらず「なんで園長先生は笑ってるのかな~、何が楽しいのかな?」と思っていましたが、今思うと園児1人1人の様子をじっくり観察するための機会として設けられた時間だったんでしょうね。本当に子供が好きな方だったのでしょう、私が給食を食べるのを、愛情に満ちた優しい笑顔で見つめていらした園長先生の表情を今でも思い描くことができます。
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