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チームで子どもを育む、児童養護施設における両職の連携と役割分担
児童養護施設や障害児支援施設といった、特別なケアを必要とする子どもたちが生活する場所。そこでは、「児童指導員」と「保育士」が、同じ目標に向かって働く、最も重要なパートナーとなります。日々の業務においては、両者の役割が明確に分かれているわけではなく、むしろ、互いの専門性を尊重し、協力し合うことで、子どもたちへの、より豊かで多角的な支援が可能となります。ここでは、社会的養護の現場における、両者の具体的な役割分担と、連携の実際について見ていきましょう。インディードで奈良保育探し施設での生活は、子どもたちにとっての「家庭」そのものです。朝、子どもたちを起こし、食事の準備をし、学校へ送り出す。日中は、施設の清掃や事務作業、関係機関との連絡調整を行い、夕方、子どもたちが帰ってくれば、「おかえり」と迎え入れ、宿題を見たり、一緒に遊んだり、時には悩みを聞いたりする。入浴や食事、就寝の準備まで、日常生活のあらゆる場面で、職員は「親代わり」としての役割を果たします。こうした生活支援の場面では、児童指導員と保育士の業務に、本質的な違いはほとんどありません。どちらも、子どもたちが安心して、規則正しい生活を送れるよう、温かい眼差しで見守り、支援します。しかし、それぞれの専門的背景の違いが、その関わりの「強み」として発揮される場面が数多くあります。例えば、施設に、まだ言葉も話せないような乳幼児がいる場合、そのケアの中心となるのは、やはり「保育士」でしょう。乳児期の発達に関する深い知識、授乳やおむつ交換、沐浴といった具体的なケアの技術、そして、子どもの情緒を安定させる愛着形成の重要性を熟知している保育士は、低年齢の子どもたちにとって、かけがえのない存在です。その専門的なケアは、子どもたちの心身の健やかな発達の土台を築きます。一方で、施設で生活する子どもたちの多くは、学齢期にあります。学校での勉強についていけず、学習への意欲を失いかけている子も少なくありません。そうした子どもたちにとって、大きな支えとなるのが、「児童指導員」です。特に、小・中学校の教員免許状を持つ児童指導員は、その専門性を活かし、日々の「学習指導」において、中心的な役割を担うことができます。単に宿題の答えを教えるのではなく、その子がどこでつまずいているのかを見極め、分かる喜びを教え、学習への動機づけを行う。その関わりは、子どもたちの自己肯定感を高め、将来の可能性を広げる上で、非常に重要です。また、大学で心理学を専攻してきた児童指導員であれば、虐待などによる心の傷(トラウマ)を抱えた子どもの、複雑な行動の背景を理解し、その心に寄り添う、より専門的なアプローチができるかもしれません。社会福祉士の資格を持つ児童指導員であれば、児童相談所や学校、医療機関といった、外部の関係機関との連絡調整役として、その手腕を発揮するでしょう。このように、児童指導員と保育士が、それぞれの専門性を持ち寄り、チームとして機能することで、初めて、多様な背景とニーズを持つ子どもたち一人ひとりに対して、最適な支援を提供することが可能となるのです。お互いの専門性をリスペクトし、日々のカンファレンスで密に情報を共有し、一人の子どもを多角的な視点で見つめる。その強固なチームワークこそが、困難を抱える子どもたちの未来を照らす、最大の力となるのです。
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チームで支える、加配保育士の具体的な仕事内容と連携の技術
加配保育士の仕事は、その専門性ゆえに、非常に多岐にわたり、そして何よりも、他の職員や保護者、専門機関との密接な「連携」が、その成果を大きく左右する。一人の子どもに深く寄り添いながらも、常に集団全体を見渡し、様々な人々と情報を共有し、協力体制を築いていく。その一日を追うことで、この仕事の具体的な内容と、そこで求められる高度な技術が見えてくる。加配保育士の朝は、担当する子どものその日の状態を把握することから始まる。奈良県の幼稚園では、保護者からの連絡帳や口頭での申し送りを通じて、家庭での様子、睡眠や食事、健康状態などを詳細に聞き取る。その情報を基に、その日一日の支援のポイントを頭の中で組み立てる。その際、必ずクラスの担任保育士と、「今日は〇〇な様子なので、活動中は少し配慮しましょう」「この活動では、こういう声かけをしてみます」といった、短い打ち合わせを行う。この朝の数分の情報共有が、一日を通して、担任と加配保育士が、一貫した方針で子どもに関わるための、重要な基盤となる。保育活動が始まると、加配保育士は、常に担当する子どもの少し斜め後ろにいるような、絶妙なポジションを保つ。その子の視線の先を追い、何に興味を示し、何に戸惑っているのかを観察する。そして、子どもが困っている素振りを見せれば、すぐに手を貸すのではなく、まずは「どうしたの?」と声をかけ、本人が自分の気持ちや状況を言葉にするのを待つ。本人がうまく表現できない場合は、「〇〇が難しいのかな?」とその気持ちを代弁し、解決のための選択肢を提示する。その支援は、常に「本人の主体性」を引き出すことを目的としており、先回りして全てをやってあげる「お世話」とは一線を画す。クラス全体での活動では、加配保育士は、担任保育士の意図を汲み取り、その活動のねらいが、担当する子どもにも達成されるよう、環境を調整する。例えば、製作活動でハサミを使うのが苦手な子には、あらかじめ切りやすいよう紙に厚みを持たせたり、握りやすい補助付きのハサミを用意したりする。その小さな工夫が、子どもの「できた!」という達成感に繋がり、自己肯定感を育む。この時、加配保育士と担当する子どもが、クラスから孤立した「特別なコーナー」を作ってしまうのではなく、あくまでクラス全体の活動の流れの中に、自然な形で溶け込めるよう配慮することが、インクルーシブ保育の要となる。午睡の時間や食事の時間も、重要な支援の場面だ。感覚の過敏さから、特定の食事が苦手な子や、周囲の物音が気になって、なかなか寝付けない子もいる。加配保育士は、そうした一人ひとりの特性を理解し、その子が安心して過ごせるような個別対応を行う。一日の終わりには、再び担任保育士と、その日の子どもの様子や成長した点、課題などを共有し、日々の記録として詳細に残す。そして、保護者には、単に「今日も元気に過ごしました」ではなく、「今日は、お友達とのやり取りで、こんな素敵な言葉が言えましたよ」といった、具体的でポジティブなフィードバックを伝える。この丁寧な報告が、保護者の安心感と、園への信頼を育む。加配保育士の仕事は、一人の子どもと向き合う深い専門性と、チームの一員として調和する協調性の、両方が求められる、まさに職人技なのである。