娘がまだ幼稚園に通っていたころの話です。タクシー運転手の私は朝勤務から帰ってくると、娘を近くの幼稚園に送っていくのが日課でした。徹夜明けの眠い目をこすりながらでしたが、とても楽しい仕事でした。最初は手をつないで、商店街まで行って、商店街に入ると娘を肩車します。目線が高くなるので、娘はキャッキャッと大喜びです。それでも女の子としてのプライドがあるのか、幼稚園のお友達の姿を発見すると、私の身体を樹木から降りていくように滑り降ります。女の子の肩車は恥ずかしいのでしょうか。それとも誰かにはやされたのか。いずれにしろ、再び手をつないで幼稚園に向かいます。
はたして、幼稚園の門に到達すると、右から左から仲良しのお友達の笑顔に遭遇します。「おはよう」、「おはよう」と大きな声で朝の挨拶です。これもとても楽しいルーティンです。娘もとてもうれしそうです。さあ、幼稚園の教室の前に着きました。ここで娘とお別れです。手を放して、「バイバイ」と左右に振ると、娘は何か物足りなそうです。手招きしています。そばによると、耳元で呟きました。「イヌイットのあいさつ!」そう、最近出勤前に娘と別れるときは、お互いの鼻の頭を擦り合わせて「イヌイットのあいさつ~」とパフォーマンスしていたのです。娘との「イヌイットのあいさつ」が終わると、娘は今度はお友達の明日香ちゃんと「イヌイットのあいさつ~」してます。明日香ちゃんは私の手を引っ張って、「ママも!」と言っています。でも、明日香ちゃんのママはとはちょっと。すると、幼稚園の伊東先生が間に入って来て、私と「イヌイットのあいさつ~」。ほんとに楽しい先生だ。
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