「そろそろ片づけようね」と声を掛けたとき、すぐに動き始める子もいれば、まだ遊びたくてなかなか手を止められない子もいます。同じ言葉を伝えても、子どもの年齢や性格、その日の気分によって反応はさまざまです。だから保育の仕事には、「この場面では必ずこれが正解」という答えがいつも用意されているわけではありません。子どもの姿を見ながら考え、試し、また考える。その仕事に興味があるなら、高田の保育園を見ることをきっかけに、実際に働く自分の姿を想像してみるのもよいでしょう。
たとえば、なかなか片づけられない子がいたとします。
「早く片づけて」と繰り返す方法もあるでしょう。
しかし、その子は遊びを終わらせたくないのかもしれません。
作っているものを壊したくないのかもしれません。
あるいは、次に何をすればよいのか分からないだけかもしれません。
理由が違えば、関わり方も変わります。
「あと一つ置いたら終わりにしようか」
「続きができるように残しておこうか」
「先生と一緒にここから片づけよう」
いくつかの方法を試して、その子が動きやすいきっかけを探していきます。
こうした小さな判断は、保育の一日の中にいくつもあります。
友だちとおもちゃの取り合いになったときも同じです。
すぐに大人が「順番に使おう」と決めることが必要な場面もあります。
一方で、少し待てば子ども同士で解決方法を見つけることもあります。
いつ声を掛けるのか。
どこまで見守るのか。
その場にいる子どもの様子を見ながら考えます。
だからこそ、保育者には観察する力が必要になります。
言葉だけではありません。
表情。
視線。
身体の動き。
いつもとの違い。
子どもが何を感じているのかを知る手がかりは、さまざまなところにあります。
最初からすべてに気づける必要はありません。
働き始めた頃には見えなかったことが、経験を重ねるうちに少しずつ見えるようになることがあります。
「あの子はこういうときに困りやすい」
「この声掛けだと安心できるみたい」
毎日の積み重ねによって、その子を理解するための情報が増えていきます。
しかし、一人で答えを出す必要もありません。
「今日はこんな様子だったけど、どう思う?」
そんなふうに職員同士で話してみると、自分とは違う見方を知ることがあります。
自分には「やりたくない」に見えた行動が、別の人には「やり方が分からなくて困っているように見えた」ということもあるかもしれません。
複数の視点を合わせることで、次の関わり方を考えることができます。
ここに、チームで保育をする面白さがあります。
保育の仕事を目指すとき、「自分に正しい対応ができるだろうか」と不安になる人もいるでしょう。
けれど大切なのは、最初からすべての答えを知っていることではありません。
目の前の子どもをよく見る。
分からなければ周囲に相談する。
うまくいかなければ別の方法を考える。
その繰り返しによって、自分の引き出しを増やしていきます。
昨日うまくいった方法が、今日は通用しないこともあります。
その反対に、何気なく掛けた一言で子どもの表情がぱっと変わる瞬間もあります。
「こうすればいい」と決められた仕事ではないからこそ、毎日の発見があります。
子ども一人ひとりと向き合い、その日の姿から次の関わりを考える。
そして、自分自身も子どもたちから学んでいく。
正解が一つではないことを難しさだけではなく面白さとして感じられること。それも、保育という仕事を続けていく中で見えてくる魅力の一つです。